全財産を長男に譲るつもりです。債務もすべて長男に負担させたいのですが、遺言はどう書けばいいですか?
第1条 私は、私が有する一切の財産を長男○○に相続させる。
第2条 私は、前条に定める相続の負担として、次の債務および費用を長男○○に負担させるものとする。遺言執行者は長男○○が相続する別紙5の預貯金を随時その支払いに充てることができる。
① 私の未払の債務、公租公課、入院費用、その他一切の債務
② 私の葬儀、埋葬等の費用
③ 本遺言の執行に関する費用
④ 遺言執行者に対する報酬
第2条 私は、前条に定める相続の負担として、次の債務および費用を長男○○に負担させるものとする。遺言執行者は長男○○が相続する別紙5の預貯金を随時その支払いに充てることができる。
① 私の未払の債務、公租公課、入院費用、その他一切の債務
② 私の葬儀、埋葬等の費用
③ 本遺言の執行に関する費用
④ 遺言執行者に対する報酬
目次
債務を承継する人
借金や未払の費用などのマイナスの財産は、原則として、各相続人の相続分に応じて引き継がれます。
したがって原則通りですと、プラスの財産を何ら受け取らない相続人であってもマイナスの財産を引き継ぐことになります。
それでは不公平だと争いが生じる可能性があります。それを防ぐのがこの遺言です。
第2条の記載がないと長男以外の家族も債務を負担することになりますが、第2条の記載があれば長男だけが債務を負担します。
例外として、賃貸不動産の敷金返還債務や住宅ローン債務は、対応する不動産を相続する者がその債務も負担すると考えられています。
したがって、問題となる債務が敷金返還債務や住宅ローンであれば、遺言で負担者を指定しなくても差し支えありませんが、トラブル防止の観点からは、遺言で明確にしておくのが望ましいです。
なお、葬儀費用や埋葬費用は、そもそも相続債務にあたらないとされているため、誰が負担するかは遺言や相続とは別の問題です。
地域ごとの慣習によって異なりますが、葬儀の喪主が負担するのが一般的です。
ただし、この例のように、一切の財産を相続させる代わりに、遺言者に関連する支払をすべて引き継がせたいときは、遺言で負担者を指定することができます。