私の後に残されるであろう妻の生活が心配です。長男に財産を相続させる代わりに妻の世話を頼みたいと思いますが、どのような遺言にしたらいいですか?
Case1
わたしは、全財産を長男○○に相続させる。全財産を相続させる負担として、長男○○は妻○○が死亡するまで同人と同居し、生活費、医療費を負担し、介護をすること。
Case2
私は、私が所有する財産を、二男Yに相続させる第○条に記載の財産を除き、すべて長男Xに相続させる。
2 長男Xは、前項の相続の負担として、妻Zが死亡するまで、以下の事項を履行しなければならない。
① 妻Zと同居し、世話をし、扶養する。
② 妻Zが老人ホーム等の施設に入居すべきときは、妻Xの同意を得てこれをなすこととし、入居に要する費用を負担する。
2 長男Xは、前項の相続の負担として、妻Zが死亡するまで、以下の事項を履行しなければならない。
① 妻Zと同居し、世話をし、扶養する。
② 妻Zが老人ホーム等の施設に入居すべきときは、妻Xの同意を得てこれをなすこととし、入居に要する費用を負担する。
負担付き「相続させる」遺言
遺言者は、遺言で財産を受け取る人に対して、受け取る見返りとして法律上の義務を課すことができます。この義務は負担と呼ばれます。
財産を与えないのに負担だけを課すことはできませんので、注意してください。
不履行の場合の取消し
負担付き「相続させる」遺言にも関わらず、財産だけを受け取って、負担を履行しない場合には、相続人は一定の期間を定めて履行を催促できます。
期間内に負担が履行されない場合、この部分に関する遺言の取消しを家庭裁判所に請求できます。
家庭裁判所によって遺言が取り消されると、遺言は効力を失い、受け取った財産は返還しなければなりません。
負担の一部を履行していた場合には、返還する財産から履行した負担額を差し引くことができます。